■復活祭と共に春はやってくる
ミュンヘンの多数を占めるキリスト教徒は、暦の上では、復活祭で春の訪れを祝う。聖金曜日から復活祭の日曜を挟んで4連休となり、街のショーウィンドウは、生命の誕生や復活を象徴する、卵、兎、鶏の置物やチョコレートで飾られる。音楽上は、ミュンヘン、ザルツブルク、ルツェルン、ウィーンなどで、復活祭音楽祭や復活祭にちなんだイベントが開催される。復活祭のミサや「ゴルゴダ」という宗教曲を演奏することもあるが、大抵は宗教には無関係で、著名なオケ、指揮者で華々しく上質の演奏会が連日連夜開かれる。同じ時期に集中するので、どれを選択するかが頭痛のタネとなる。

■ミュンヘンの春はビヤガーデンと共に
季節上のミュンヘンの春は、予想とはかなり違っていた。本で読んだ限りでは、春の訪れは、シュパーゲル(アスパラガス)がお店に並ぶようになって、りんごの花が咲き乱れて...という情感あふれるものだったが、復活祭直前に雪は降ったかと思うと、その後は気温がいきなり20℃を越え、ビヤガーデンが開店してしまった。これでは春を通り越して夏だ、と油断していると再び最高気温が10℃を切り、厚いコートが必要になる。

■シュパーゲル・シュパーゲル・シュパーゲル
ドイツの典型的なシュパーゲル料理は、直径2センチ×長さ20センチほどのシュパーゲルを、切らずにそのまま、塩と砂糖を少々入れたお湯で茹でて、ホランディーズというバターソースをかけるだけ。付け合せは皮をむいて茹でたじゃがいも。なんともシンプルだ。もちろん、日本のように「固い根元の部分を先に茹でて」という繊細な発想などないので、穂の部分は茹ですぎて、くたくたになっている。その1本目を「いかにもドイツ」と苦笑しながら食べると、なぜか2本目、3本目と、どんどんフォークが進んでしまう。美味しいか、と尋ねられても素直に美味しいとは言えないけれど、身体が受け付けやすい料理ではある。

文と写真 篠原 智子

 
 
篠原 智子
当団楽団員・ヴァイオリン奏者
ミュンヘン特派員
 

■目次
2003/12 ミュンヘンのクリスマス
2004/3 3+6×3の世界
2004/6 ミュンヘンの春
2004/10 皆のためのオペラ
2005/9 シノハラ、ザルツブルクに行く